「親の時代とは別物」内申点の"インフレ"が生む誤解 英語の評定で3人に1人が「5」の学校もある

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東京都内の全公立中学校の中で、英語の評定「5」の割合が最も高いある中学校があります。この学校の英語「5」の割合は34.4%。つまり、3人に1人以上が最高評価を受けているのです。これは東京都平均の2倍以上の数字になります。

この数字に不公平感を抱くかもしれませんが、実はこの中学には、帰国生の生徒が多かったという事情がありました。英語の評定が高くなるのは自然なことなのです。現在の絶対評価の制度では、このようなことが起こるのです。

都内で最も評定の平均値が高い中学校があります。この中学の評定「5」「4」の割合は57.4%で、一見、データ上では「都内で最も内申点が取りやすい中学校」ということになります。いったいなぜでしょうか。

この学校の学区は大型のファミリーマンションや、整然とした新興住宅街が広がるエリアです。学区の推定世帯年収が特に高いというデータもあり、教育に高い関心のある家庭が集まりやすいエリアです。中学受験率は高くなく、難関都立高校に行くルートが確立しています。

学力の高いエリアの公立中は、高い内申点が振り分けられている、これが絶対評価下の評定分布の真実なのです。

公立小学校の評定は中学校とは違う

教育熱の高い小学生の保護者からこんな不満を聞くことがあります。

「うちの子はSAPIXのαクラスにいて、模試ではいつも高偏差値なのに、小学校の通知表では評価されない。小学校の評価はおかしい」

気持ちはとてもよくわかりますが、小学校の評価は学力偏差値とは異なる基準でつけられることを知っておく必要があるでしょう。

そもそも公立小学校には、定期テストと呼ばれるような試験がありません。その代わり、カラーテストと呼ばれる単元ごとの確認テストがあります。このテストは、特別な勉強をしなくても容易に高得点を取れるように設計されています。テストの点数で大きな差のつく中学校とは前提が異なるのです。

また、公立小学校は担任の先生が複数の科目を担当するので、先生の主観が評定に影響することは否定できません。

そもそも、小学校の通知表は入試利用を想定していません。そのため、中学校と比べて、評価の客観性を担保する仕組みは乏しいと言わざるを得ません。公立中学校は、専門科目を担当する9人の先生がそれぞれ評価をします。算出される評定合計は9人の先生の評価の集合体になるので、評価のブレは小さくなります。

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