二階元幹事長の「後継争い」で和歌山が大混乱 「長男VS三男」に世耕氏絡み、広がる疑心暗鬼
これに関連して、次期衆院選で和歌山新1区からの鞍替え出馬を予定していた鶴保庸介参院議員(57)=和歌山選挙区=が、4月28日に地元和歌山市で記者会見し、鞍替え出馬断念を表明した。二階氏の引退表明や世耕氏の離党を受け、同党の県議有志や、県町村会の岡本章会長が鶴保氏に対し、参院議員にとどまるよう要請していたことを受けたものだ。
鶴保氏は会見の中で「声が中央に届きづらくなるのではないかと危惧されていた。県南部をはじめとする多くの地域の声を無視できない」としたうえで、「衆院選から撤退することのご批判は甘んじて受けなければならないが、引き続き、参院議員のまま和歌山県のみならず、国のために粉骨砕身努力をしたい」と強調した。ただ、関係者からは「世耕氏への当てつけのように聞こえる」(自民県連幹部)との声も出る。
二階氏の「関与」を否定する町村会会長
そもそも、二階氏自身は引退会見で「後継者は地元に一任」と明言した。しかも、4月21日の和歌山県連の会合を欠席したことで「心臓の疾患で都内の大学病院に入院中」という噂が広がる。その中で、今回の後継選びを主導する町村会・岡本会長も「町村会の出馬要請が二階氏と関係しているような報道もあるが、二階氏からも伸康氏でなんて話は一切ない」と二階氏の関与を否定する。
そうした状況も踏まえ、自民党和歌山県連は連休中の5月4日、和歌山市内で石田真敏衆院議員や鶴保氏、県議らが参加した「代表役員会」を開き、新1区と新2区の候補予定者を「原則、公募する」と決定。ただ、県連内で推薦があれば、同月中に開く「拡大役員会」に諮る方針も確認した。
役員会後、県連幹事長の山下直也県議は「公募方法や日程は今後詰める」としたうえで、伸康氏については「本人から県連に(出馬の意向の申し出を)頂いていない。(県連)内部の関係者が立候補することになった場合、拡大役員会に諮ることになる」と説明した。
そうした中、自民党内には「岸田首相は、引退表明した二階氏を裏金事件では無罪放免とすることで、自らの政治資金疑惑も棚上げするという“裏取引”をした。それだけに、後継選びも二階氏の意向を優先する」(選対幹部)とみる向きが多い。このため「世耕氏が鞍替え出馬して二階氏の息子と対決すれば、反党行為として自民党除名処分とすると脅しをかけるはず」(同)との声も漏れてくる。
トリプル補選の自民全敗を受けて多くの世論調査では「会期末解散はなくなった」との声が広がっていたが、5月に入って各種世論調査で内閣支持率が回復し始め、「岸田首相自身も会期末解散断行への様々な手を打っている」(官邸筋)とされる。このため、二階氏後継問題も早期決着を迫られるが、「二階家、地元、党本部の思惑が複雑に交錯するだけに、現時点では全く見通しが立たない」(自民選対)のが実態だ。
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