「世界の労働者の叫び」メーデーの意味を問い直す 歴史から振り返るメーデーが持つ意味

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日本でも勤労感謝の日があるが、しかしこの日は労働者のデモ行進の日ではない。だったら祝日にすべきであろう。

しかし、残念ながら労働者の権利をしっかりと守ろうとする人々は、日本にはあまりにも少ない。その意味でも日本は国際社会から孤立しているのかもしれない。

血なまぐさい事件が起きるメーデー

5月という季節はとてもいい季節である。しかし、歴史的にこの5月には血なまぐさい事件がいろいろ起こってきた。その1つが1871年のパリコミューンである。パリコミューンは1871年、普仏戦争の講話に反対したパリ市民が蜂起して世界初の労働者政権を樹立したものだ。

3月に樹立したパリコミューンは5月末から6月にかけて崩壊する。ちょうどさくらんぼの実る季節である。パリコミュ―ンの頃を思い返す、有名なシャンソン「さくらんぼの実る頃」の歌詞の最後はこうなっている。

「あの頃のことはずっと忘れない。傷ついた心をもって」

メーデーの日が世界の労働者の叫びの日であるとすれば、やはりこの日のことを忘れるべきではあるまい。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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