「世界の労働者の叫び」メーデーの意味を問い直す 歴史から振り返るメーデーが持つ意味

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さらに5月1日という日ですら、2001年4月以降いつの間にか日本労働組合総連合会連合系は、ゴールデンウィークの前の土曜日に変更してしまったのである。

世界を見渡すと、メーデーの日である5月1日が祝日である国が多いことに気づく。当然ながら社会主義国では祝日であったが、資本主義国であるフランスやドイツなどのヨーロッパの国でも、多くは祝日である。

メーデーは祝日とすべきか

日本ではゴールデンウィーク(黄金週間)の狭間の中にあるにもかかわらず、普通の日になっている。確かに連休である以上、家族旅行に出かけたりすれば、この日だけデモ行進に参加することは難しい。

メーデーを続けるには、やはり祝日にするしかない。しかし、連休であればもっと集まらないかもしれない。だったらバカンス休暇をつくって、そちらで休暇をとってもらえばいい。

もっとも5月1日という日には、歴史的に意味がある。もちろんアメリカのように、それ以上に重要な労働者のための祝日があるというのであれば、他の日にすればいい。

労働運動の長い歴史があるアメリカとイギリスのようなアングロ=サクソン地域を除けば、ほとんどの国がメーデー、すなわち5月1日を労働者のための祝日にしている。

ヨーロッパ諸国が5月1日を休みにしているのは、第二インターナショナルの歴史的背景があるからだ。シカゴの労働者の悲劇を忘れないという共感の上に決められたのだ。

しかし、一方メーデー発生の原因となったシカゴのあるアメリカでは、この日が祝日ではないのだ。アメリカのレイバーデーは9月の第1月曜日だが、それはシカゴより以前(1882年)にニューヨークでレイバーデーが始まったからでもある。

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