超希少「データ人材」本気で育成する現場のリアル 滋賀大学、資生堂の現場を訪ねてみた
同社はデジタルマーケティングとITの2つをビジネスの柱に据えて活動している企業だが、いずれのチームでも重要視されているのが自走・自立する力だ。半期ごとにスキルアセスメントを実施し、社員の力の底上げを図っている。こうした研修の充実具合も求職者には魅力に見え、採用を有利にしている。
データサイエンティストのキャリア形成
新規の採用に加えてもともといた社員に対してのスキル強化も始めている。資生堂を母体として生まれた同社には、新たに採用した人の他、資生堂から異動した社員もいる。こうした社員の中にはビューティー分野に関する知識は豊富なものの、デジタルマーケティングや、IT知識についてはこれからという人も多い。そのため、各自がどの程度のスキルを持っているか、定量的にトラッキングする仕組みを作り、力の底上げを図っているのだ。
同社のKPI(重要業績評価指数)では、データエンジニアや、ITストラテジストなど、IT・デジタルマーケティング領域 で自立・自走がより色濃く問われる業務に関連した人材を「ウェーブ1人材」と呼んでいる。領域には「P3ミドル以上」という表記がある。
KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字を取った言葉。簡単に言うならば、目標を達成するために、日々どのようなことを行い、達成する必要があるかを見える化したものだ。
同社のいう「P3ミドル」は、コンサルティングファームでいうところのマネージャークラス以上に匹敵する能力となる。同社では、半期に1度スキルアセスメントを健康診断のように行うことで、足りない部分を可視化、そこを補うような研修を行う仕組みができている。
具体的な人材育成の方法にも工夫が見られる。「Define」「Discover」「Develop」「Deploy」 の4つをフレームワークとする独自の「4Dサイクル」というものを構築、これにそって計画的に人材育成を実施している。
この4Dサイクルを回しながら、同社が掲げるKPIとの照合を行い、ギャップがある場合はディベロップ研修を行う。資生堂インタラクティブビューティーの企画管理部人事・総務グループの坪根雅史グループマネージャーは
「研修後、得た知識をどれだけ実務に還元できるかがカギとなるため、4つめのDeployが重要です」と話す。
社員の給与は①ライフプラン手当②基本給③SPA(スキルプレミアムアロワンス)の3つにより決まるが
「データサイエンス人材はマーケットの報酬状況を見つつ当社の処遇がCompetitiveになるよう設計しています。結果的にですが、一般的な職種の人と比べると年収が50万円から100万円上がるようになっています」(担当者)
優秀なデータサイエンス人材はどこの企業も欲しいところ。しかし、自分の力が発揮できそうもないフェーズ1の会社では、求職者に魅力的とは映らない。スキルアップの制度とやりがい、給与の三拍子揃った会社には、今後も良質な人材が集まりそうだ。
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