西岡:僕自身、宇野先生の授業を通して「頭の使い方」を学んだように思います。地理を学んだからこそ、その思考法をほかの科目にも応用して、偏差値35から東大に逆転合格することができたなと。ただ、それは一体なぜだったのか、自分の中でうまく言語化できていません。この点について、お話を伺えればと思います。
宇野:実は西岡くんのように、地理から勉強に目覚めて、成績が上がる生徒というのは少なくありません。地理がきっかけで東大に受かったと言ってくれる生徒が、文系だけではなく、理系にもいてくれるのは、講師をやっていてとても嬉しく感じる瞬間です。
西岡:そもそも、宇野先生は地理という科目をどのように定義していらっしゃるのでしょうか? 世間一般では、世界の地図を覚える、世界の地形を暗記する、といったイメージを持つ人もいると思うのですが。
東京のブルーベリー農家が多い理由
宇野:一言で言うと、「結果から逆算して考える」科目ですね。地球上で今見えているものは、結果でしかありません。この地域で、こういう産業が発達しているとか、人口はこれくらいだ、など。でも、そのすべてが「結果」であって、考えを巡らせれば「原因」がどこかにあるかがわかります。
例えば、拙著『「ドラゴン桜」式クイズで学ぶ東大思考』でも触れていますが、以前東大の入試問題で「ブルーベリー農家が47都道府県の中で、いちばん多いのは東京都だが、これはなぜか考えて答えなさい」という問題が出ました。
西岡:東京には、ブルーベリーのイメージはありませんが、意外な統計データですね。
宇野:ブルーベリー農家が「観光農園」を行っている場合が多い、ということまでたどり着けば、すぐに答えが出ます。ブルーベリー農家は、観光農園として、農園での収穫体験を実施しており、そこにはカップルや家族連れがたくさん訪れます。
観光農園は、お客さんを集めやすい地域で開業するのがいちばんです。人口の多い東京近辺だと、お客さんが集まりやすく、観光地として適している。
こうしたことは、東京近辺で街を散歩していて「なんでここに農園があるんだろう?」と考えたことがある人なら気付けることです。でも、多くの人は「結果」として見ているから、その「理由」まで深掘りしないんですよね。
西岡:結果だけで満足せず、原因を探る思考が重要である、ということですね。これについては『ドラゴン桜』の中でも、同じようなことを述べているシーンがあります。
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