東大合格導く駿台講師語る"頭よくなる思考法" 地理の学習を通して日常の思考力を鍛える

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宇野:同じような例で、こんな問題があります。私が初回の授業で出題している「なぞなぞ」なのですが、「赤道が通っている国(ケニアやエクアドルなど)で作っている商品で、日本では必ず1年に4回、値段が上がるものがある。これはなんだと思いますか?」というものです。

西岡:この情報だけだと、少し難しいですね。何かヒントを貰えないですか?

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宇野:1年に4回と言うのは、3月、5月、8月、9月の4回です。

西岡:規則性があるわけではないから、何かのイベントごとに値段が上がっているということですよね。

宇野:いいところに目を付けましたね。答えは「花」です。5月の母の日、8月はお盆、3月と9月はお彼岸と、決まったイベントがあるから、花の値段が上がるんです。このように日本は年中花の需要があります。赤道近くであれば、気候の変化が年間を通して乏しく、花を安定的に供給することができます。だからこそ、ケニアやエクアドルでは花の栽培が盛んなのです。

西岡:これも「なぜ」を問うことで答えが導けるものでしたね。

暗記ではなく、ロジックを理解する

宇野:そうです。ただ、勘違いしないでほしいのは、今の問いから学んでほしいのは「ケニアでは花が栽培されている」という事実ではなく、「なぜ赤道が通る国では花が栽培されるのか?」「それはなぜか?」というロジック・過程なのです。

問題を解くために必要最低限の知識は必要ですが、その知識を基に「どのような考え方ができるのか」が大切です。特に、最近の共通テストの傾向などを見ていると、結果ではなく過程をフォーカスする動きがあると思っています。

西岡:この前、宇野先生は共通テスト対策の参考書を出版されていましたが、こちらも「結果」よりも「なぜそうなるのか」のほうに重点が置かれた構成になっていて、驚かされました。やはり自分たちが受験生だったころのセンター試験対策とは若干毛色が違ってきているんだな、と。

宇野:まさにそうです。結果ではなく、過程の部分をしっかりと理解し、納得するための思考を働かせることが、これからの入試において、またこれからの時代を生きるうえで重要になってくると考えています。

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西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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