2つの「マネー小説」に学ぶ、本当に大事なお金の話 原田ひ香×田内学「お金の本当の役割とは」対談

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田内:ハゲタカファンドが出てきたり。

原田:もちろん、そういうのも面白いんですけど、もっと細々した100円、1000円レベルの「家計」の話を描いたものはあまりなかったんです。私自身、もともと雑誌の節約テーマ号を読むのが好きだったり、いろんなマネ活に興味があるので、そういうところを小説にできないかなと思ったのが始まりでした。

田内:それにしても、お金まわりのことをよくご存じですよね。登場人物の1人・真帆がクレジットカードのポイ活をやっていたり、真帆の祖母が銀行の金利キャンペーンを賢く活用していたり。原田さんご自身、証券会社で働いていたとか金融系のご経験があるわけではないですよね?

女子大で習った「1年で100万円貯める方法」

原田:ぜんぜんないですね。20代のころは丸の内で秘書をしていました。当時は貯金をしていたんですけど、その元になったのが、まさに本にも出てくる「1カ月に8万円ずつ貯める」っていう話なんです。

田内:「8×12」の話! あれは実話だったんですか。

三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)
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原田:はい。女子大生時代に大学の先生に教えてもらいました。「1カ月に8万円ずつ貯める。年2回のボーナスは2万円ずつだけ貯金に回して、あとは全部使っていい。すると12カ月で100万円になります」と。

実はこの先があって、「将来、結婚するとき、この貯金のことを相手に話してはいけない」という話だったんです。

田内:ほう、その真意は?

原田:ひょっとしたら結婚相手がとんでもない暴力男だったり、実はすごい借金があったりするかもしれない。そうなったときに数百万円の貯金があれば、子どもがいたとしても、その手を引いて家を出られるでしょう、と。もう30年くらい前の女子大での話ですけど。

田内:すごい話ですね。この貯金術、原田さんは実際に実践されたんですか?

原田:はい、社会人1年目に100万円を貯めました。すでに銀行の金利が下がっていたので、もう少し効率的に増やしたいなと思って、当時、利回りが一番よくて安全だったMMFに預けてみました。

だから金融系の勤務経験があるとか、バリバリ自分で勉強して投資してきたとかではないんですけど、20代のころから何となく投資していて多少は知っているかな、くらいの感じですね。

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