今さら聞けない「機関投資家」っていったい何? IRのプロが渡り合ってきた伝説的な投資家

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私はIRコンサル会社を2017年に起業する前、日東電工で10年強、IR現場で実務に携わってきました。その間に約5000件の機関投資家との取材対応を行いました。取材とは、企業のIR担当や、経営陣が機関投資家に対して業績結果・見通し、経営方針・戦略など説明するミーティングのことです。

株式の購入・買い増しや長期保有等の投資判断に直結しますので、機関投資家にとっても企業にとっても最重要な場となります。今年3月の日経新聞に「IR人材、6年で求人4倍」の記事がありました。これは人手不足に加えて、企業がIRの重要性を認識して人員のレベルアップや増員を図っているからにほかなりません。

機関投資家にもいろいろいる

機関投資家の目指すゴールは、投資家(お金の出し手)に利益をもたらすことです。利益をもたらす投資手法には長期保有、短期売買(ヘッジファンド)、物言う株主(アクティビスト)など、さまざまあって機関投資家を特徴づけるものです。

IR視点からすれば、長期に安定した経営を行っていくために長期保有の機関投資家に株主になってもらいたいわけですが、株主を選ぶことはできません。選ぶのは、機関投資家なのですから。そんな機関投資家において、集めた資金の投資先企業や配分を決めるのがファンドマネージャー(以下、FMとします)です。

数多くの取材をこなした中でも、記憶に残っているFMが何人かいます。

まずは、若いころの失敗談。相手は香港拠点のヘッジファンドのFMで、IR担当へいくつもの回答できない質問を意図的にぶつけてくる人でした。例えば、前職の場合ですと主力製品の顧客ごとの売上比率や原価構成などでしょうか。「(機密事項のため)回答は控えさせていただきます」と言わざるをえません。

するとそのFMは都度「(こんなことが)回答できないんですか!」「(競合の)X社では回答あったのに……」などなど。うぶな私はその圧に押されて、しどろもどろの回答になったことがあります。

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