今さら聞けない「機関投資家」っていったい何? IRのプロが渡り合ってきた伝説的な投資家

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この中で、一番の肝になるのは運用力の向上です。とはいえ、私たちは運用を任せる先や実際に運用を行っている人たちについてどれくらいのことを知っているのでしょうか。今回、筆者の18年間の実経験(上場企業でのIR担当歴10年とIRコンサルとして独立後8年)に基づいて、そのイメージを少しでも把握してもらいたいと思います。

ウィキペディアで「機関投資家」と入力して調べると「個人投資家らの拠出した巨額の資金を有価証券(株式・債券)等で運用・管理する社団や法人」とあります。それに「保険会社、投資信託、信託銀行、投資顧問会社、年金基金など。財団も含む」と説明は続いています。

金融商品取引法では、投資家を特定投資家と一般投資家に分け、それぞれ異なる規制が適用されることになっています。私はシンプルに前者は「プロ投資家」で機関投資家、後者は「アマ(チュア)投資家」で個人投資家と呼んでよいと考えています。

世界の有力機関投資家はどんなところ?

機関投資家が個人や法人から集めたお金は、想像を絶する額に上ります。アメリカThinking Ahead Instituteの「The world’s largest asset managers」(2023年10月)データによれば世界有力機関投資家5000社中、トップ20の運用資産額を見ると次のようなランキングになっています。

トップ20中、14社はアメリカ本拠地の機関投資家で、残り6社はヨーロッパ。トップのブラックロックの運用資産額は約1300兆円にもなる計算です。日本の国家予算はザックリ100兆円ですから13年分にも相当する額です。残念なことに日本の機関投資家は、トップ20にはお呼びではありません。岸田首相が資産運用立国を掲げる1つの理由はここにあるでしょう。

ちなみに、日本の機関投資家の最高位は31位の三井住友トラスト・ホールディングス。次いで37位の三菱UFJフィナンシャル・グループ、44位の日本生命と続きます。もちろん運用資産額が全てというわけではありませんが、発生するコストの負担感は(運用資産額が大きいほど)軽くなるのは間違いありません。

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