機能性食品は「根拠の質が低い」とわかるのが長所 健康食品業界38年の識者が指摘「制度の功罪」

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――透明性は高くても、それを理解できる消費者は少ない。

その通りだ。一般消費者はエビデンスを見てもわからない。そのためアカデミアや消費者団体が時々チェックしている。ここから先は業界団体でどこまで自浄作用を発揮できるかが重要になる。国の周知も足りていない。消費者庁には出先機関がなく、限界があるのだろう。

サプリは切り分けて考える必要性も

――カプセル・錠剤型のサプリは機能性表示食品の中でも特に問題視されているのでしょうか。

サプリは過剰摂取しやすい。成分を抽出したり濃縮したりするので、医薬品との相互作用も心配される。小林製薬の件で亡くなった方には既往症があったようだから、もしかすると相互作用が関連しているかもわからない。食品だから安全なわけではなく、安全な食べ方があるだけ。例えばご飯も食べすぎたら肥満になる。

――サプリは「必ず毎日飲まなくては」と思う人がいる。

そこが怖いところ。習慣化しなきゃと思って、知らないうちに過剰摂取になる場合がある。日本にはサプリの法律がない。アメリカのダイエタリーサプリメント制度には法律があるし、EUにはフードサプリメント指令、ASEAN諸国にもヘルスサプリメントという制度がある。一般食品と区別して、サプリはサプリで厳しく規制するのが一般的だ。

今回の機会にサプリの法律についても議論されると思うし、これはあったほうがいいと思う。しっかりサプリの定義をして、GMPを義務化するなど、一般食品より厳しい品質管理を要求することはできると思う。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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