国内シェア競争に意味はない、重要なのは価値競争--小路明善・アサヒビール新社長に聞く
また、今まで泉谷(ホールディングス社長の泉谷直木氏)が一人でアサヒの全事業をみていた。だが、アサヒビールが事業会社となった事で、私は国内の酒類事業だけに集中してみればいい。だからこそ私を含めた経営者と本社には意志決定のスピード化と高度化を求めている。これが一番始めに出さなきゃいけない成果であり、そこから色んなものが生まれると考えている。
--震災後、商品数を絞る戦略を採る競合他社も出てきています。
我々は絞るとか増やすといった事を考えていない。あくまでもお客様の潜在ニーズを探り、お客様の求める価値がどこにあるのか把握し、それに合わせて商品の数が増えたり減ったりするものだと考えている。
見なければならないのはお客様の消費動向だ。絞るか増やすかはその結果論でしかない。ただ、震災後の消費動向は非常に判断が難しい。絆を深めたい人が増えている中、その手段の一つになりうる酒類の既存商品だけではお客様も飽きている面もあるかもしれない。そういう意味では商品を増やす可能性は十分ある。
--ビール最盛期の夏ですが、足もとはいかがでしょうか。
7月は前年同月比2ケタ増で絶好調だった。8月も引き続き伸びていくと期待している。昨年のような猛暑効果はないが、今年は節電などで体感温度が高く、厳しい夏になるとも言われている。7月に発売した「ブルーラベル」(第3のビール)も現在100万箱以上出荷している。単月で100万箱を超えるヒット商品は少ない。
また、スーパードライのエクストラコールドバーも7月は前年同月の1.5倍の来客数だ。店自体も前期の約630店から、今期は年末までに1000店増やす計画が順調にきている。