国内シェア競争に意味はない、重要なのは価値競争--小路明善・アサヒビール新社長に聞く
--しかし長期的には国内酒類市場縮小は避けられません。
確かに人口減や高齢化で今後もマイナストレンドは避けられない。だが、市場創造型の企業として、まだまだ若者がお酒をツールとして楽しんでもらうポテンシャルはあるとみている。若者の酒離れが言われて久しいが、それはまだ若者が本当に求めている商品を提供できていないからだ。マイナストレンドだから、マイナス成長でいいとは全く考えていない。エクストラコールドバーに並んでいただいているのは若い男女ばかりであるように、こういった商品のブラッシュアップをしていけば、まだ需要の創造は可能だ。
--メーカー間の競争も激化していますが、ビール類出荷数量でのシェア争いにはもう意味はないのでは。
おっしゃる通り、私も競合他社とのシェア争いには意味はないと考えているし、しない。そんな争いは会社を疲弊させてしまうだけだ。奪い合うパイが同じであれば、競争激化するのは避けられない。しかし、我々は価値競争なら喜んでする。お客様は価値ある商品を望んでおり、より価値の高い商品を生むための競争なら望んでいる。
だからこそ、シェアではなく、お客様の嗜好が多様化する中で、いかに価値ある商品を生み出すかの、価値競争をしていく。シェアはあくまでも結果論だ。私はシェアの結果で一喜一憂はしないし、社員にも一喜一憂するなと言っている。一方で、キリンホールディングスとの共同配送など、今後も業界内で協調できる部分は柔軟にしていきたい。
(張 子渓 =東洋経済オンライン)
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