国内シェア競争に意味はない、重要なのは価値競争--小路明善・アサヒビール新社長に聞く

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国内シェア競争に意味はない、重要なのは価値競争--小路明善・アサヒビール新社長に聞く

ついにアサヒビールも、7月1日付けで純粋持ち株会社へ移行した。持ち株会社の社名は「アサヒグループホールディングス」。大手ビールメーカー4社で唯一取り残されていたアサヒの持ち株会社の最大の狙いは海外M&A(企業の合併・買収)の加速。傘下に各事業会社を独立させる事で、持ち株会社がM&Aに集中できるようにしたのだ。

ただ、依然として利益の9割を稼ぐのは国内酒類事業。HD傘下の国内酒類事業会社として新たに発足したアサヒビールの小路明善(こうじ・あきよし)社長に話を聞いた。

--小路社長の経営方針を教えてください。

社長に就任するにあたって社員には3つの事を申し上げた。一つ目は、「創って造って価値を提供する」という事だ。アサヒビールが国内のモノづくり専門会社として生まれ変わった事で今まで以上に、お客様のニーズに応える商品を「創る」という意味だ。「造る」は、安心安全で信頼できる品質の商品を「造る」という事。「価値の提供」は、昨年から展開している既存の「スーパードライ」を氷点下2度で飲む「エクストラコールド」というバーがよい例だ。既存の定番商品に新たなスペックをつけ、新たな価値を提供している。

2つ目は人を活かす経営。私は、人事を担当した経験があり、少々おおげさと思われるかもしれないが、「人は会社の命」だと公言している。モノをつくるのは人であり、経営資源の中でも、もっとも崇高なのが人的資源だ。それを最大限に活かしたい。一人一人の持てる能力をどんな場面でも100%発揮できる環境をつくる。

3つ目は、「あきらめない」経営だ。これは自分自身の実体験から学んだものだ。私が入社した1975年は、まだ「スーパードライ」が生まれる前だ。当時は、アサヒのシェアは9.6%。その頃に営業を経験した。

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