今の日本の皮膚呼吸を伝える場所が東京--『トーキョー・ストレンジャー』を書いた姜尚中氏(東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授)に聞く

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 大震災後、何回か福島に行った。東京を支える下部構造としての豊富な電力、それが福島によって支えられていることを論じない東京論にどれだけの意味があるのかも考えた。

東京を現在、牛耳っている人たちもかつてはストレンジャーではなかったか。戦後、地方から人を集め、その結果、繁栄した。もう一度、ストレンジャーの立場に戻って、東京を考え直すべきなのだろう。

──原子力発電所といえば、日韓共通の課題として、相互認識の原発シンポジウムを開催しました。

韓国には21基の原発がある。耐用年数を終えて稼働中止になっている原発もある。電力公社1社体制で、防衛上から原発は南側に集中している。

距離的にも近いのでアクシデントが起こらないように、東アジアの安全共同体作りを目指したらどうか。日韓で安全性の基準作り、支援体制の整備、人的交流など、互いの原発に対して相互理解を進める。そして、安全管理の基準を日韓で共有した後に、国際基準をアジアレベルで作る。

この機会に東京のエネルギー源に対する再認識を、アジア地域全体のレベルでも考えたい。

カン・サンジュン
1950年熊本県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。ドイツのエアランゲン大学留学後、国際基督教大学准教授などを経て、現職。同大学現代韓国研究センター長を兼務。専攻は政治学・政治思想史。在日2世として、さまざまな問題にコミットし発言している。


(聞き手・本誌:塚田紀史 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年7月30日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


トーキョー・ストレンジャ 集英社 1365円 238ページ

  

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