高齢者の交通事故、増加の要因は「認知症」ではない 「脳ドックデータ」で判明した大きな事実誤認

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血圧が高い人、大酒飲みの人、タバコを吸う習慣のある人は脳萎縮と白質病変の両方に関係し、過度のストレスを抱えている人は脳萎縮に強く関係すると考えています。

通常、私が主宰する脳ドック施設のデータでは、男性は1年で2ml、女性は1mlの割合で脳萎縮が進行するのですが、飲酒・喫煙習慣のある人はそれが約5mlに、仕事や人間関係などにストレスを感じている人は約10mlに増加するのです。

栄養バランスの取れた食事と規則正しい生活が大切

さらに、運動不足や睡眠不足、不規則かつ栄養バランスの偏った食事、糖尿病をはじめとする生活習慣病が脳萎縮に影響することも、付け加えておかねばならないでしょう。

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また最近では、フレイルと脳萎縮・白質病変が密接に関係しているのではないかということが指摘されています。脳萎縮が進み、白質病変が継続的に増加すると、高次脳機能の衰退・低下、やる気・粘り・意欲の枯渇などをまねき、それがフレイルに結びついていくとする考え方です。

欧米の追跡調査では、白質病変とフレイルの関係が多く報告されていますので、フレイルと診断されたら、白質病変が増えている可能性を疑ったほうがいいでしょう。

高齢になっても、長く安全運転を続けたいのであれば、脳萎縮や白質病変の増加を抑えることが求められます。そのためにも、お酒やタバコを極力減らし、栄養バランスの取れた食事をとり、適度に運動して良質な睡眠をとるなど、生活習慣を見直して健康的な日々を送ることを心がけましょう。

朴 啓彰 医師

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パク ケチャン / PARK Kaechang

医療法人健会高知検診クリニック脳ドックセンター長。医学博士。日本認知症学会専門医・指導医、日本脳神経外科学会認定医、日本頭痛学会専門医、日本脳ドック学会評議員。1985年、大阪大学医学部卒業。1993年、大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。高知大学医学部脳神経外科准教授などを経て現職。2008年から脳ドック専門診療に従事するかたわら、交通科学に脳ドックビックデータを活用した脳から見た交通安全対策を研究。2010年から高知工科大学で地域交通医学・社会脳研究室を主宰。2017年、日本ではじめて認知症疑いの高齢ドライバーを対象とした「自動車運転外来」を高知市・愛宕病院にて開設、話題になる。

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