イトーヨーカ堂「上場検討」がなんとも心配な理由 顧客理解が欠如したままで、本当にうまくいく?
これらの問題点に共通しているのは、「顧客理解の欠如」だと思う。
例えば、④のセルフレジの件で言えば、ヨーカドーの客層は高齢者が多いにもかかわらず、DX推進のためにセルフレジを増やし有人レジを減らした結果、有人レジに長蛇の列ができている光景をよく目にした。
現場レベルで「誰が」「どのように」店を利用しているのか、あるいは利用する可能性があるのかについての把握が不十分なのではないか。上場を機に、ヨーカドーには自社の店舗の強みと弱みを徹底的に分析し、顧客理解を深めることが求められる。ただ、それはヨーカドーにとって最も苦手な部分かもしれない。相当の覚悟が必要だろう。
では、ヨーカドーの強みを生かすためには、どのような改革案が考えられるだろうか。
筆者は、ヨーカドーの最大の強みは「場所」にあると考える。ヨーカドーの多くの店舗は、駅前の一等地に広大な敷地を持っている。このような好立地を十分に活用しないのは、社会的にも大きな損失だ。土地だけ持って、それを活用しないのは、罪だとさえ言える。
かつて、総合スーパーが全盛だった時代は、「立地」と「商品」の両方が魅力的だったため、相乗効果で多くの客が訪れた。そもそも、「商品」自体の供給量が多くなかった時代において、衣料品から食料品までさまざまなものが1カ所に集まっていることは、大きな優位性になったはずである。また、それらがこれまでより安価で手に入ることも、ヨーカドーで売られる「商品」の魅力を高めていた。
しかし、時代とともにさまざまなカテゴリーキラーが登場し、「商品」で勝負することが難しくなったのが、ヨーカドーの現状だろう。「商品」の魅力が低下したわけである。当然ながら、「立地」だけでは集客力を維持できない。つまり、そこに残された「場所」や「空間」をどう活用するかが重要なのだ。
ここで筆者は、こう言いたい。「ヨーカドーよ、プラットフォーマーになれ」と。
ヨーカドー、プラットフォーマーになれ(という願い)
プラットフォームとは、ある商品やサービスを扱う「場所」のことである。プラットフォームにさまざまな商品、つまり「コンテンツ」が集まる。ヨーカドーができるとすれば、そのようなプラットフォームとしての価値を高めることではないか。
ここで参考になるのが、他の商業施設の事例だ。
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