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イトーヨーカ堂「上場検討」がなんとも心配な理由 顧客理解が欠如したままで、本当にうまくいく?

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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これにより、イトーヨーカ堂に自律的な財務体制の立て直しを促す一方、セブン&アイ・ホールディングスとしては経営資源をコンビニ事業に集中させることができる。イトーヨーカ堂の最終決算が4年連続赤字という状況を踏まえれば、セブン&アイ・ホールディングス側の危機感は相当なものだったと推察される。

セブン&アイ・ホールディングスとしては、コンビニ事業を中心とした経営資源の選択と集中を進める狙いがあるのだろう。上場によって、イトーヨーカ堂に自律的な経営を促しつつ、グループ全体の最適化を図る。それが狙いかもしれない。

……ということで、イトーヨーカ堂には、自力での財務状況改善に向けた抜本的な改革案が求められているわけだが(実際、発表ではイトーヨーカ堂に対する月次モニタリングにも言及されている)、その具体的な内容はまだ明らかになっていない。

資料にも「イトーヨーカ堂のブランドポジショニングの再設計を含む、包括的な成長戦略が不十分である」との文言が確認できる(出所:セブン&アイホールディングスIR資料)

このように、今後の改革案については見えていないところもあるものの、最近の報道では、ヨーカドーの改革は徐々に進行しているともいえる。

例えば、かつての主力であった「アパレル」事業からの完全撤退が発表されており、実際にアパレル大手で、グローバルワークやニコアンド、ローリーズファームなどを運営する「アダストリア」と提携し、店舗のアパレル売り場をアダストリアに委託する動きも出ている。

代わりにヨーカドーが注力するのは「食」の分野だ。今回の発表でも触れられていたように、セブン&アイ・ホールディングスとヨーカドーは食品分野での積極的な連携を続けていく方針だという。さらに、地方店舗の積極的な閉鎖や、都心部での営業強化など、いくつかの具体的な改革も実行に移されている。

ヨーカドーの「顧客理解の欠如」という根本的な課題

このように、いくつかの改革が進んではいるが、根本的な部分での問題があると筆者は思う。ヨーカドー全体に漂う「顧客理解の欠如」の問題だ。

筆者はこれまで、低迷するヨーカドーの原因を探るべく、同社が注力するという都心部(東京23区)の15店舗をすべて訪問し、一消費者の視点からその空間の弱点を分析してきた。その際に指摘した、主な問題点は以下の4つだ。

①どの店舗も、食料品売り場とテナントのチェーンストアにしか客がいない  
②改装に伴い、売り場のあちこちに空きスペースがあり、バックヤードが丸見えになっている
③改装店舗では商品構成が大幅に変更されているが、かえってわかりにくくなっている
④セルフレジが十分に機能していない

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【根本にある「顧客理解の欠如」】

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