すがった海外「腎臓移植」"地獄"を見た患者の末路 海外「臓器売買・斡旋」の闇を追うルポタージュ

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トルコ人は本田の親族に対し、「現時点では感染症にかかっていない」と説明したが、「キルギスでは拒絶反応の治療ができない」と明かした。

ホテルで療養している理由については、「イスラエル人の患者に問題が起きたため、安全上の理由からホテルへ連れて行った」とした。

しかし、本田の体調は回復しないどころか、悪化していった。そのままでは命の危険があったため、いったんウズベキスタンに移動し、病院で治療を受けた。

移植した腎臓は膿だらけだった

日本に向けて出発したのは、2022年の年明けのことだ。1月5日、やっとのことで成田空港に到着すると、空港から千葉県内の病院に救急搬送された。

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診察した医師は目を見張った。移植した腎臓は膿(うみ)だらけで機能しておらず、もはや摘出するしかなかった。

緊急手術の麻酔から目を覚ました本田に、医師は「危篤でしたよ、本田さん。帰国があと1時間遅れていたら、死んでいたかもしれない」と説明し、こうも語った。

「もう、めちゃくちゃですよ。縫い方も雑で、21世紀の医療の傷痕とは思えない」

本田はその後も体調が芳しくない状態が続き、入退院を繰り返している。NPOに高額の費用を支払い、健康を取り戻すために海外に渡航したのに、結果はさんざんなものだった。

「かえって、地獄のような状況になってしまった」。そう悔やんでいる。

前編「海外での腎臓移植を望む50代女性が陥った"罠"」はこちら

読売新聞社会部取材班
よみうりしんぶんしゃかいぶしゅざいはん

読売新聞社会部の警視庁クラブ、遊軍記者らで編成された調査報道チーム。海外で行われた「臓器売買」疑惑について1年半以上かけて取材し、2022年8月7日付朝刊で記事化。臓器移植をめぐる問題点など、事件の背景を含めた一連の報道で2023年度新聞協会賞を受賞した。

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