元トヨタ主婦が子育てNPOで目指すもの トヨタ式はこう活かされる

✎ 1〜 ✎ 46 ✎ 47 ✎ 48 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マニュアルのない子育てに戸惑う

やがて結婚、出産というライフベントを迎えた森さん。

「出産した瞬間から未知の世界が広がりました。これまで学校や社会で学んだことが何ひとつ役に立たないことに呆然としました。インターネットで情報を検索したり育児書を読んだりしても、自分が欲しい情報にたどり着くことができない。マニュアルのない子育てという領域に戸惑いました」

森さんが欲しかったのは、住んでいる地域で友だちを作ることができるようなイベントが、いつどこであるかといった情報だった。しかし、これらのほとんどが”チラシ媒体”。チラシがどこに置いてあるのかを知らないと、情報にたどりつくことができないのだ。こまちぷらすが提供している「地域こそだてカレンダー」は、このときの森さんの経験から生まれている。

育休中の森さんは、各地域に存在する「子育て支援拠点」の新規設立サポートや、ワークライフバランス(WLB)などをテーマとしたセミナーの企画運営などを中心に、ボランティアとして徹底的に地域とかかわりを持つようになった。

「このときの経験は、後のNPO設立時に大変役立ちました。トヨタを退職した後すぐにNPOを設立し事業化できたのは、この経験のおかげです」

育休から復帰した後は、ロシアや欧州を対象とした調査の仕事を担当した。

「公共サービスそのものが回らない国では、失業率、出生率ともに低く、女性の働きやすさと出生率には深い関係があることに気づきました。同時に出生率の低い日本は、女性にとって働きやすい社会を作ることを優先的に考えなければならないと思うようになりました。そして、誰かが変えてくれるのを待つのではなく、自分が動かないといけないと考えるようになったのです」

しかし当時、日本の子育ての状況は本来あるべき姿ではないと思いながら働いていたという。それもそのはず。森さんの復帰後の生活は1分1秒に追われるものだった。朝7時に保育園へ預け、18時にお迎えに行くのが基本で、往復3時間の通勤時間を除くと仕事に専念できる時間はごくわずか。途中から在宅勤務を組み合わせ、子どもたちを寝かしつけた後に仕事をしていたが、もどかしさを感じていたという。

次ページ過去の経験を生かして……
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事