エンジニアが欲しい米大学が出した「奥の手」 街ぐるみで対策に乗り出した
開校時の学生数は数十人程度となる見込みだが、同校は10年後には学生数を3000人以上にすることを目標としている。ワシントン大学のアナ・マリ・コース臨時学長によると、清華大学は中国人の学生募集に協力し、同校のグローバル化で重要な役割を果たすという。コース臨時学長は開校の正式発表前にインタビューに答えて、「中国の大学がアメリカに実際のキャンパスを設けるのは初めてで、これはとても大きな出来事だ」と話した。
グローバル・イノベーション・エクスチェンジは当初は大学院のみで、学部は設けられない。したがって、少なくとも短期的には、地域のテクノロジー人材不足の解消策としては限界が生じることになる。しかし、このプロジェクトの参加者たちは、同校が将来どのような姿になるかを占うのは時期尚早だという。スミスは、「この大学は10年先、100年先を考えている」と話す。
教育問題を扱う州立機関の「ワシントン・スチューデント・アチーブメント・カウンシル」が発表した2013年の報告書によると、2021年までにシアトル周辺で必要とされる人材の需要を満たすためには、コンピュータ科学の学士号を持つ学生を年間2700人以上増やす必要があるという。ワシントン大学でコンピュータ科学の学士号を取得しているのは、現在のところ年間300人だ。
シリコンバレーの背後には、有力大学が2校
シアトルのオンライン不動産会社「レッドフィン」のCEO、グレン・ケルマンは、たったひとつの大学にこれほど人材を依存している地域は、これまで見たことがなかったと話す。ケルマンは言う。「ここに来た時にはとても驚いた。ここにはマイクロソフトやアマゾンがある。それに当社くらいの規模の会社は何十社もあり、もっと小さな会社は何百とある。それなのに、どこも同じコンピュータ科学専攻の卒業生のグループから人材を選んでいる。非常に少ない中から選ぶことになる」。
シリコンバレーの発展は、2つの高等教育機関の強さと密接に関連している。ひとつは公立のカリフォルニア大学バークレー校、もうひとつは私立のスタンフォード大学だ。公立大学であるワシントン大学も、コンピュータ科学では全米でトップクラスのプログラムを提供している。しかし、同校はコンピュータ科学を志望する多数の学生を受け入れられずにいる。なぜなら、学生数を増やせるだけの資金がないからだ。