「赤身ステーキ」ブームで"牛肉序列"に変化 霜降り肉と赤身肉の価格が接近!

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さらに、「ここ2~3年で国内の品種改良が一段と進んだことで、肉質等級では4以上の割合が増えた」(芳野氏)。現に国内の中央卸売市場で取り引きされる国産牛(和牛去勢)のうち、A4以上が占める割合は2011年4月時点の6割から、直近の2015年4月で7割以上に上昇している。

赤身を提供する店が急増

赤身の供給量が減る一方、需要は高まっている。

国内の飲食店のうち、現在約7割を個人経営の店が占める中、メニュー変更がしやすい個人店を中心に赤身肉の提供が加速。国産赤身牛のステーキ販売を始めた東京・高田馬場のあるイタリアンレストランでは、「20~30代の女性に人気で、売り切れない日は一日もない」という。

チェーン店にも赤身肉の提供は徐々に広がり始めている。すかいらーく傘下のファミレス「ジョナサン」では今年、10年ぶりに国産牛の赤身ステーキを販売した。当初は4月中旬から6月17日までの販売を計画していたが、40~50代の女性客を中心に売れ行き好調で、当初の予定よりも10日ほど前倒しして、販売を終了した。「健康志向の高まりでシニア層を中心に脂身の少ない牛肉需要が高まっている」(すかいらーく)。

今後の需給次第では、霜降り肉と赤身肉の価格差がますます縮まるかもしれない。

「週刊東洋経済」2015年6月27日号<22日発売>の「価格を読む」を転載)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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