米国の政策失敗に学んだ中国は先進国をまねない--A.T.カーニーCEO ポール・ラウディシナ


 三つの中でも住宅市場の改善が重要なのですが、余剰な住宅在庫がマーケットに滞留しており、この解消にはあと18カ月ぐらいはかかるとみられている。米国経済の持続可能な改善は、12カ月あるいは18カ月先ということになるだろう。

──福島第一原発事故以降、世界から日本の政治に対する信頼感が、特に薄れてきていると思います。

日本の政治だけが問題だとは思いません。今の時代における政治は、極めて複雑で困難なものです。それは米国でもロシアでもメキシコでも同様で、将来に対する国民の不安は増しています。

これはなぜか。一つには情報の拡散が考えられます。インターネットが普及してウェブベースの情報が出回る、ソーシャルネットワーキングもある、さらにマスコミが大量な情報を流す。その中で、政治の意思決定が極めて複雑になっている。

たくさん聞けば聞くほど、いろいろな情報にさらされればさらされるほど、理解できなくなる「インフォメーション・スモッグ」と呼ばれる奇妙な現象が起きている。情報の洪水の中で、逆に耳をふさいでしまって聞こうとしなくなる、誰も信じられなくなる状況が起こっているのだと思います。

つまり、経営者も政治家も銀行も信じられないという状況の中で、信頼の欠如と崩壊が起こっていて、その結果として、政治の意思決定が極めて困難になっているのです。

Paul A. Laudicina
シカゴ大学卒業。石油メジャーや研究機関を経て1991年にA.T.カーニー入社。2006年9月同社CEO。グローバル戦略、リスクマネジメントなどの分野で25年間コンサルティング活動を続ける。著書に『World Out of Balance(邦題:明日の世界を読む力)』など。

(聞き手:鈴木雅幸 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年7月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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