米国の政策失敗に学んだ中国は先進国をまねない--A.T.カーニーCEO ポール・ラウディシナ

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──中国経済はさまざまなリスクを乗り越え、ソフトランディングできると考えていますか。

中国はすでに、ソフトランディングに至るプロセスに入っています。経済成長の減速にもある程度成功しているし、また住宅市場の過熱化も抑えられてきていると思う。

基本的に中国という国は、まず問題があったらそれに着目し、重点を置いて、すぐ政策手段を駆使して対応することができる。民主主義国のように、この方法が正しいのかどうかを、いろいろなステークホルダーに聞いたりしないで済むわけです。問題を特定したら解決策を考え、その解決策に対して、ほかの自由主義経済や民主主義経済が実現できないようなスピードでもって、対応できる体制にあると思います。

ですから、中国は過去2年間、先進諸国ほど経済危機の悪影響を受けていないと感じていて、結果的には今まで以上に自信を強めていると思うわけです。つまり、先進国は金融・経済政策で失敗していると認識しており、そのような国々からの圧力を受けずに、自らの国益にかなう形で政策を展開することがベストプラクティスだと感じている。

ただし中国経済は現在、非常に重要な過渡期にあります。製造業中心の輸出型経済から、内需主導型の経済への移行を目指している。

これは統計数字でも明らかで、中国のGDPに対する経常黒字の占める割合を見ると、2007年の10・1%から昨年末には5・2%へと下がってきている。一方、GDPの伸び率は4~6月の第2四半期が9・5%だったが、片やインフレ率はコモディティ価格の上昇で、6月に6・4%まで上がってきている。

非常にデリケートなバランスを取りながら、インフレを抑え込み、成長をある程度スローダウンさせるという政策を取っている。

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