大人の教養は「教科書」で身につけよう! 下手なハウツー本よりずっと使える
あえて不便なものを
「勉強」は、中国語では「無理強いする」の意味。勉強の道具、教科書や参考書はまさにネガティブイメージの塊だったが、「もっと知りたい」「頭を使いたい」欲求に応えるものだと発見した。そういう意味で、教科書や参考書ではないが、ピタリと来るものがある。京都大学の「不便益システム研究所」が開発した「素数ものさし」だ。
代表を務める川上浩司教授は「不便のいいところを研究するのが不便益システム研究所」。通るたびに道がかすれ、3回目には道が消えてしまうカーナビ、リアルなジェスチャーをしないと立ち上がらないスマホのアプリなどを研究開発。初の商品化が「素数ものさし」だ。
2、3、5……と「素数=1とその数でしか割り切れない自然数」の目盛りしかない。「4を測るには?」と川上教授。「えーっと、2を測って、また2を測る?」と答えると、「それもいいですし、『7・3』という方法もある。素数ものさしは工夫が必要。考えないとできないから面白いでしょ?」
便利なことを不便にしよう。そうすると絶対にいいことがある。システムが発展する──。
「難しいですね」と一言漏らすと「そうなんです。でも、学生と演習やワークショップで不便益を考えることが多いのですが、学生は頭が柔らかいのでいろいろ出てきます。しかも、2~3日もすればハマる。発想の転換ができるようになりますよ」と川上教授。私も「不便益」を考え続ければ、いつかは京都大学の学生さん並みの頭になれるだろうか。
(ライター・羽根田真智)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら