次に人類進化のステージに登場するのが30年前の教科書にも載っていた「アウストラロピテクス属」。比較的早い段階でアフリカの広い地域に暮らしていたとされています。
3つの属の「初期猿人」
サヘラントロプス属をはじめとする初期猿人が、最初の人類と考えられる理由は骨格的な特徴にあります。人類の特徴である脳容積の増大に先立って「直立二足歩行」が完成しますが、それぞれの骨格の断片がその可能性を示しています。
最古の人類は700万年前!? サヘラントロプス属
2001年にチャドでほぼ完全な形の頭骨の化石、サヘラントロプス・チャデンシスが発見されました。
推定される身長や脳容積はチンパンジーと同程度。しかし、脊髄と脳がつながる大後頭孔(だいこうとうこう)の位置が前寄りにあることから、背骨の真上に頭骨が垂直にのる構造、すなわちヒトの特徴である直立二足歩行の可能性を示しました。
また、犬歯が臼歯(奥歯)より小さいこともヒトの特徴で、前年にケニアで発見された600万年前の人類オロリン・トゥゲネンシスの大腿骨の形状なども、直立していた可能性を示しています。
樹上と地上で生活か?アルディピテクス属
エチオピアで発見されたアルディピテクス属のカダッバとラミダスという2つの種。カダッバのほうが580万~520万年前と時代は古く、ラミダスは約440万年前に生きていたと考えられています。
数多く発掘されたラミダス化石の中で、「アルディ」と呼ばれる成人女性の化石は、全身骨格のかなりの部分が残っており、彼らの身体的な特徴が明らかになっています。
他の初期猿人と同様に直立二足歩行の可能性を示しているほか、腕が長く、足の親指が離れているという、地上だけでなく樹上生活者としての特徴も複雑に入り混じっています。
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