「アウストラロピテクスが最初の人類」は昔の話? 「人類のルーツ」の最新情報をアップデートする

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カラダは現代人のサイズ感に近い

ジャワ島などで発見されたホモ・エレクトスの化石から推定される成人の身長は、140~180cm、体重は41~55kg程度と、だいぶ現代人のサイズに近づいています。

脳容積には幅があって、550~1250mLと推定されています。ジャワ島の初期の種と、最後のものを比較すると、脳容積は約1.5倍に増えており、このことからもホモ・エレクトスは、地域の環境にそれぞれ適応しながら、系統の中で独自の進化を遂げていたことがわかります。

史上最初にアフリカを旅立った人類

人類は、誕生から長い間アフリカ大陸の中で生活していましたが、180万年以上前に人類初の出アフリカを成し遂げたとされるのがホモ・エレクトスです。

誕生から早い段階でたまたまアフリカを出たものが各地に広がり、生存期間が約190万年と長期にわたったとされています。

誕生から早い段階で世界に拡散

ホモ・エレクトスは、誕生から比較的早い段階でアフリカを出たものと考えられています。アフリカ以外で原人の最も古い化石が見つかっているのが、ジョージアにある「ドマニシ遺跡」です。

そこで発見された化石の年代は約180万年前のものと推定され、遅くともその頃には出アフリカがなされたことになります。

『ビジネス教養・超速アップデート-図解版 人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(中央公論新社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

困難だった出アフリカを達成できたのは、当時のサハラ砂漠が現在のように発達しておらず、地理的な障害が少なかったことも理由の1つと考えられます。

ホモ・サピエンスより圧倒的に長く生存していた!

ユーラシア大陸の各地に広がっていったホモ・エレクトスは、各地域の環境に適応しながら独自の進化を遂げていきました。

1つの種としては、とても長く生存した種であり、ジャワ島では約10万年前のものとされる化石も発見されています。エレクトス種がアフリカで誕生したのが200万年ほど前ですから、約190万年も生存していたことになります。

ホモ・サピエンスの歴史は約30万年とされていますから、私たちより約6倍も長く地球上に存在していたことになります。

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篠田 謙一 国立科学博物館長

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しのだ けんいち / Kenichi Shinoda

1955年生まれ。京都大学理学部卒業。博士(医学)。佐賀医科大学助教授を経て、現在、国立科学博物館長。専門は分子人類学。本書の親本にあたる『人類の起源』(中公新書)は新書大賞2023第2位となったベストセラー。他の著書に『DNAで語る日本人起源論』『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA』(ともに岩波書店)、『新版 日本人になった祖先たち――DNAが解明する多元的構造』(NHK出版)、編著に『化石とゲノムで探る――人類の起源と拡散』(日経サイエンス社)などがある。

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