最終報告の締めくくりには、安倍政権3年間の歳出改革を継続・強化することを明確に示し、これまでの実質的な増額ペースを拡大させない水準で、大括りの歳出目標を設定(2018年度に、基礎的財政収支赤字対GDP(国内総生産)比に加え、歳出額の目標設定)することを、政府に求めている。これは、歳出総額の上限を目標設定せよ、というものではない。
これと合わせて、毎年度、個別の歳出項目毎に歳出抑制額を割り当てるといった機械的な目標であってはならないことと、2016年度から手を緩めることなく集中的に歳出改革を行うことも記している。
他方、経済財政諮問会議では、民間議員から、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標達成に向けて、2018年度に基礎的財政収支赤字対GDP比で1%まで改善することを中間目標として設定し、そこでは歳出額についての数値目標を設定しない方向での提案をベースに議論が進んでいた。
なぜ特命委側と諮問会議を対立と捉えるのは不毛なのか
ここで、両者の違いが報道等でも注目された。
両者とも、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を達成しようとしている点では一致している。
ではどこが違うか。諮問会議民間議員側は、歳出額の目標設定に否定的な意見であるのに対して、自民党側は歳出額の目標設定をすることを求めた点である。
その議論の過程は、歳出改革主導の財政健全化か経済成長主導の財政健全化か、という対立の構図で捉えられがちである。
しかし、東洋経済オンラインの本連載の前回拙稿「財務省と内閣府・諮問会議が、不毛の対立に 経済成長主導による財政健全化策のワナ」でも記したように、対立の構図で捉えても議論の行方は見えてこない。
その背景を深掘りすべく、まず諮問会議民間議員側のスタンスを確認しておこう。
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