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歳出改革と経済成長は必ず両立できる 6月末の財政健全化計画はどうまとまるのか

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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これまでの議論の経緯を見ると、諮問会議民間議員のスタンスは、次の3つにまとめられるだろう。

(1) 厳しい歳出削減は避けたい。特に、歳出削減を大きくすると経済成長率が落ちることを懸念している。

(2) 成長による税収増で収支改善を稼ぎたいが、露骨すぎて黒字化が絵に描いた餅と批判されては困る。

(3)歳出改革で、もし摩擦が少ない形で手柄を上げられるなら、「骨太の方針」に入れてもいい。

これら3つをどう成り立たせるかに腐心していると思われる。

税収増に説得的な根拠がない諮問会議側

しかし、(2)の税収増に根拠があればよいが、説得的な根拠は示されていない。内閣府の中長期試算で経済再生ケースとしてすでに3.5%前後の名目成長率を見込み、それと連動して上がる税の自然増収はカウントに入っている。

もしそれ以上の税収増を見込みたいなら、経済成長率を3.5%以上にする「成長戦略」が描ければよいが、諮問会議からそうした声は聞かれない。

となると、経済再生ケースの3.5%前後の名目成長率を前提としつつも、税収増を見込む方策を示せなければならない。諮問会議の議論では、「経済構造の高度化・高付加価値化、公的部門の産業化」により税収増を図る、としている。しかし、名目成長率が3.5%前後のままで、経済構造の高度化・高付加価値化、公的部門の産業化によって税収だけ増やせるというのは、どうすればできるのか根拠が薄弱である。

そうなると、2020年度の基礎的財政収支黒字化の道筋が説得的に示せず、絵に描いた餅と後ろ指をさされてしまう。それを見越してか、諮問会議民間議員側も、歳出改革に不熱心でないという姿勢を見せている。(3)のように、社会保障改革や地方交付税改革などでは、かなり踏み込んだ具体策も提案している。

とはいえ、民間議員側が歳出改革に及び腰と思われるのは、(1)の思惑、つまり歳出削減を大きくすると経済成長率が落ちることを懸念している点である。

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【歳出額の目標設定は苛烈な緊縮財政を意味しない】

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