子どもを幸せにする非認知能力「創造性」の育み方 「目に見えない世界」に心を遊ばせよう

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「創造力」とは、なんらかの価値あるものを新しく生み出す力のこと。今のところ、AI(人工知能)はデータのないところからなにかを生み出すことができないので、無から有を生み出せる人間ならではの「創造力」が、これからの時代を埋もれずに生き抜くために必須の力だと言われ始めたのです。では、この「創造力」、いったいどうやって育てればいいのでしょうか?

創造力を駆使して挑む「物語創作」

私の教室では、入室初年度のお子さんに、国語を学ぶための基礎的な<語彙>と<ものの見方>をインプットする入門クラスがあるのですが、そのクラスの卒業課題が、まさに創造力を駆使して挑む「物語創作」なのです。

絵日記すら一人で書けないというお子さんでも、しっかりと国語の基礎を学び、毎日読書をしてもらって、物語の構造を指導いたしますと、個人差はありますが大抵1年くらいで、親御さんたちも驚くほどの素晴らしい物語が書けるようになります。

帰国子女のH君は、入室時、じっくり自分の頭で考えるということをしてくれず、一文を書くことすらままならなかったのですが、コツコツ読書と作文練習を積み重ね、この春、卒業課題に挑むことになりました。

果たして、H君に長い物語が書ききれるだろうか? H君の創造力がどこまで伸びているのか、日頃の短作文だけで計り知ることは難しく、私はかなり心配していました。ですが、その心配は全くの杞憂でした。

H君は、24時間営業のピザ屋で働く、睡眠時間の短い男性「タケさん」を主人公に設定し、タケさんがふらふらの状態でピザの宅配をする様子を面白おかしく描いて、私を笑わせてくれました。

そして、その翌週の授業では、タケさんが交通事故にあい、店長がタケさんのためにピザ屋の営業時間を22時間に短縮したことで、タケさんの睡眠不足が解消されるという、ユーモラスな物語を書き上げたのでした。

また、作文が苦手だった4年生の女の子も、この春卒業課題に挑み、実に見事な長編ファンタジーを執筆してくれました。この子が生み出した主人公は、人を見ると寿命がわかるという特殊能力を持った少女。両親の寿命が長くないと知った少女は、寿命が延びる花を探しに、友人たちと冒険の旅に出ます。

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