日本の半導体産業「世界から後れる」歴史的事情 日本の半導体産業は世界から取り残されている

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最近の株価上昇には、半導体以外にも要因があるとの見方がある。それは、日本企業が変革に成功し、世界からの信頼を集めるに至ったということだ。

海外からの対日投資が増えているのは、事実だ。しかし、それは、中国経済の落ち込みによって、それまで中国に向かっていた投資が日本に来たという側面が大きい。いわば、「敵失」だ。

株価が上昇している根本的理由

また、半導体関係以外の企業の株価が上昇しているのも事実だ。しかし、その原因は、円安だ。

トヨタ自動車の株価が、2024年初から3月5日までの期間に2702円から3565円へと1.32倍に上昇したのが、その典型例だ。これは、東京エレクトロンの上昇率とあまり変わらない。また、商社の株価も上がっている。三井物産の株価は、年初の5405円から6816円へと1.26倍になった。

円安によって企業の利益が見かけ上増えることは、これまでも起こったことだ。それがいまの円安局面でも起こっているに過ぎない。

円安になって円ベースの輸出額が増えても、ドルベースでは変わらず、鉱工業生産指数に見られる実体的な生産活動は増加しない。他方で、円安は、国内物価を引き上げ、日本人を貧しくする。だから、望ましい現象とは言えない。

しかも、今後の日米金融政策によって為替レートが円高に転じれば、傾向は逆転してしまう。まことに脆弱なものだ。

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野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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