日経平均「史上最高値」更新の裏で進んでいる茶番 「景気回復の実感」なき株価上昇が意味すること

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「労働分配が少ないなら、資本分配をもらったらいいじゃない」

しかし、フランス革命時の庶民がケーキを食べられなかったように、貯金ゼロでは投資することはできない。結果的にますます格差は拡大していく

日経平均株価だけ見ていては、そのことに気づくはずがない。

株価の上下よりも大切なもの

経済は、経世済民の略。「世の中を治め、民衆を苦しみから救済すること」の意味だったはず。

日経平均のことではないはずだ。

『きみのお金は誰のため』の中では、先生役の投資家が以下のように話している箇所がある。

うつむいて話を聞いていた七海が顔を上げた。
「投資の目的は、お金を増やすことだとばかり思っていました。そこまで社会のことを考えていませんでした。大切なのは、どんな社会にしたいのかってことなんですね」
苦笑いで恥ずかしさを隠す彼女に、ボスが優しく声をかける。
「そう思ってくれたんやったら、僕も話した甲斐があったわ。株価が上がるか下がるかをあてて喜んでいる間は、投資家としては三流や。それに、投資しているのはお金だけやない。さっきの2人は、もっと大事なものを投資しているんや」
ボスは七海と優斗を順に見つめてから、ゆっくりと続けた。
「それは、彼らの若い時間や」
『きみのお金は誰のため』152ページより

先日、“岸田総理に今すぐ読ませたい!!「きみのお金は誰のため」”というタイトルのYouTube動画がアップされていた。投稿者はなんと、自民党の参院議員・西田昌司氏だ。

西田氏の言うとおり、総理にはいち早く読んでもらいたいものである。

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。

著書に「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞した『きみのお金は誰のため』のほか、『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)などがある。

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