仮設住宅でのコミュニティ形成に注力、被災者住宅政策で国は発想の転換を--立谷秀清・相馬市長に聞く震災復興の課題
--仮設住宅でのコミュニティ形成にも力を注いでいますね。
仮設住宅は約80戸に集会所1カ所を設け、集会所単位で組長を選任している。そして組長には補佐をつけ、被災した住民から採用した場合には市が人件費を払う仕組みにした。さらに、1棟(5戸)ごとに戸長を選任した。組長を束ねるのは行政区の区長だ。
組長を通じて、毎日の配食の管理や集会所での共同会食の手配、支援物資の配給、住民健診など行政サービスの周知、孤独者や健康状態不良者のチェックを行う。被災者の中で保健協力員や民生委員だった方には市の行政支援員になっていただき、その方たちにフェース・トゥ・フェースで、身体障害者らの見守りをしていただく。
市では近く、仮設住宅入居者および被災者全員の健康診断を行いたい。南相馬市や双葉郡、飯舘村から来た方についても健診を受けていただく。震災後、体調を崩して亡くなる人をゼロにしなければならない。
--仮設住宅から、恒久的な住宅への移行についてはどのように考えていますか。
5月に成立した国の第1次補正予算では、1116億円を投じて災害公営住宅1万戸の供給が盛り込まれた。そのうちの4分の3を国費、残る4分の1を市で持つ。つまり、市ではその分を借金で賄ったうえで、家賃で償還していけばいい。しかし、500~600戸規模の公営住宅を市で管理していくことは困難。ある程度年数が経ったら払い下げたうえで、住民の自己責任で管理する仕組みにしてもらいたい。
しかし、その際にネックになるのが、再建築価格、すなわち簿価でないと売ってはいけないという縛りだ。その場合、高い値段となるために売れないので、結局、市で抱え込むことになる。