仮設住宅でのコミュニティ形成に注力、被災者住宅政策で国は発想の転換を--立谷秀清・相馬市長に聞く震災復興の課題
--南相馬市では緊急時避難準備区域(福島第一原発から20~30キロメートル圏内)でも、6月下旬から入院患者の受け入れ規制が一部ですが緩和されました。
とてもいいことだ。それをやらなければ南相馬市民は生活に不自由し、医療ニーズを満たせない。ただ、南相馬市内の病院は休止やこれまでの入院医療の制限によって、経営危機に直面している。原発事故の補償金が一時金の形であれ速やかに支払われなければ、病院経営にとって大変な問題になる。
--住民生活の再建支援では、仮設住宅への入居が進んできました。6月17日には最後の避難所を閉鎖しました。
被災者全員の分の仮設住宅ができたら、避難所は閉鎖して当然だ。しかし、仮設住宅に移ることは当面の目標にすぎない。最終目標は被災した方の人生にメドが立つこと。
ただ、仕事の確保や津波で浸水した住宅跡地の扱いなど難問が多い。私自身は津波で住宅が全壊した地域にソーラーパネルを張り巡らすことができないかと考えている。
--仮設住宅への入居とともに食事や食料の提供を打ち切る自治体もある中で、相馬市は支援を続けています。
最終的には自立に向かうべきだが、急には難しい。仮設住宅に入居する方には、入居時に1人につきコメ30キログラムおよび食器や家財道具(布団)、1世帯につき支度金10万円を支給した。これで最低限の生活の準備はできる。
ただ、家族を失って独りになった方や老老介護の高齢世帯が110人いらっしゃる。この方々は集会所で一堂に会して夕食を召し上がっていただくことにした。
そのほかの方々の食材は市で用意し、集会所で配っている。これらは約1500世帯が対象で年間3億円かかる。政府には経費の支援を求めているが、現在のところ、内閣府からはゼロ回答だ。