仮設住宅でのコミュニティ形成に注力、被災者住宅政策で国は発想の転換を--立谷秀清・相馬市長に聞く震災復興の課題


 各チームがそれぞれの役目を果たし、「避難所から1人の死者も出さない」という目標を成し遂げた。

--精神科医療の対応も大変だったようですね。

南相馬市にある2つの精神科病院がともに閉鎖となり、患者さんへの医薬品の供給が追いつかなくなった。最初は政府関係者にお願いして徳洲会系医療機関の医師に来ていただいたが、診療のスペースがなくて困った。そこで公立相馬総合病院に仮診療のスペースを設け、その後は福島県立医科大学の丹羽真一教授の指揮下で頑張っていただいた。

そのさなかに、医薬品の不足という問題が生じた。私は福島県の医薬品卸大手・恒和薬品の滝田康雄社長と直接交渉し、相馬市には責任を持って届けると約束していただいた。同じく医薬品卸大手・東邦薬品も供給を確約してくれた。こうした取り組みによって、医薬品の供給は途切れることなく続くことが可能になった。

--相馬市内には精神科を標榜する病院や診療所がありません。精神科の医療支援はいつまで続ける必要がありますか。

丹羽教授が中心になって、今後どうするかを協議している。いちばんいいのは精神科病院の再開だが、それができない場合は精神科の外来を置いたうえで、アウトリーチでの訪問看護や訪問生活支援を展開したいとの考えをお持ちのようだ。

ただし、事業主体がない。そこで「相双地区の新しい精神科医療サービスシステムの構築を考える会」を作り、関係者の間で協議が始まっている。

もっとも、公立相馬総合病院に精神科を開設することは難しい。プライバシー保護の重要性から、独立したスペースを確保する必要があるが、そのメドが立っていない。入院医療に代わってアウトリーチ(訪問支援)の手法を取るにしても、最終的には南相馬市または相馬市で入院医療が開設されることが必要だ。

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