本質を問う「Why型質問」が苦手な日本人の大問題 当たり前の質問で課題の深層に切り込む

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このように、Why型の質問というのは一見誰もが疑いもしない疑問であればあるほど本質的な疑問を投げかけ、課題の深層に入っていくことができるのです。

今私たちに求められているのは、こういった「Why型の当たり前の質問」なのではないかと思います。日本人は学校教育時代から質問が苦手です。これは伝統的What型教育のなせるわざであるところが大きいと思いますが、Why型思考を身につけていく上で必ず越えなければならないハードルではないかと思います。

一見子供じみた質問を一笑に付さずに真剣にゼロベースで考える力というのが、これからますます必要になってくるでしょう。

なぜ日本人は質問が苦手なのか?

ここで「なぜ日本人は質問が苦手なのか?」ということを考えてみます。

まず、もともと日本人は比較的見知らぬ集団に入ると寡黙になるという「ムラ意識」というのが影響していることは間違いないでしょう。「国際会議で難しいのはインド人を黙らせることと日本人をしゃべらせることだ」というよく言われる話(ジョーク)も、この一面を表しています。

こうしたベースとなる理由に加えて、ここではWhy型/What型という観点でこの疑問を解明してみたいと思います。

What型の質問とWhy型の質問の特徴は、まとめれば「What型質問は愚か者がすること」であり、「Why型質問は本質を解明するためのきっかけになる」(質問しないのは思考停止と同じ)ということでした。

知識詰め込みのWhat型教育で質問をするということは、ちゃんと聞いていなかったか、頭に入れられなかったかのどちらかですから、質問することは基本的に後ろ向きかつ恥ずかしいことになります。

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これに対してWhy型の質問というのは、ここが全てのスタートで、考えるという行為の第一歩であるというのはこれまで述べてきた通りです。こうした点を考慮しても、日本人の質問下手の大きな要因としてWhat型教育の影響が大きいのは間違いないと思います。

それに加えて、「What型教育は一方向でもよいが、Why型教育は双方向でなければならない」ということもあるでしょう。What型教育では、最悪、教える側が一方的にしゃべりまくれば一定の目的は達せられたことになりますから、そこでたとえ質問がなくても問題はないわけですが、Why型教育というのは双方向ですから、質問がないという状態が放置されることはないはずです。

Why型/What型の観点から見ると、これら二つの要因が日本人が質問下手になっていることに大きな影響を及ぼしていると結論づけられるでしょう。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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