日経平均株価はいったん小休止するかもしれない 大相場は継続でも、3月相場には注意が必要だ
しかし現在は、冷戦の終結どころか、今度はアメリカと中ロ連合という形での対立が深まり、中国の隣国日本、ウクライナの戦場に近い欧州に地政学的リスクが高まっている。その中で、日経平均・独DAX指数・仏CAX40指数が史上最高値を連日のように更新しているのはどういうことだろうか。結局、世界にあふれる投機資金は、平和よりも争いを好むと解さざるをえない。
今は11月5日のアメリカ大統領選挙を控え、ドナルド・トランプ前大統領が返り咲いたらという「もしトラ」特集がメディアにあふれている。本当に「アメリカファースト」のトランプ大統領となったら、この投機資金はどうするのだろうか。アメリカの敵は中ロだけでなく、日欧まで敵になるのか。新しい相場は新しいリスクを伴って進んでいくが、相場は新しい局面に入ったばかりだ。とにかく、最後までついていこう。
大相場は継続でも、目先は波乱も?
とはいえ、今年に入ってからの株価の上げピッチは想定外だし、「2月に史上最高値更新」はさらなる「想定外事件」だ。ただし、このコラムを継続して読んでいる方々ならおわかりのとおり、以前とは違う相場になる可能性については、何度も解説してきた。
あらためてひとことで言うと、「この新しい相場は『史上最高値』という目標値があったこれまでの相場と違い、目標値(天井)が見えない相場」であり、「投資家はとにかくこの相場にふるい落とされぬように最後(筆者予想ではバブル発生まで)までついていくことが最も重要だ」としてきた。
そうは言っても、この局面で、多くの個人投資家は半導体株の急騰に乗れず、かろうじてバリュー株(銀行・建設・鉄鋼など)の循環物色の恩恵を受けている程度だ。小型株ではむしろ評価損を抱えている投資家も少なくない。
ただし、「押し目待ちに押し目なし」と言われる反面、押し目のない相場もない。上述のような「もしトラ」が実現したら、波乱があるかもしれない(あれば当然買いだ)。
しかし、1989年に比べて力を落としたアメリカがここで日欧と対立して、「新たな東西戦」や「グローバルサウスとのつばぜり合い」に勝てるとも思えない。もし、再びトランプ大統領になってもジョー・バイデン大統領が再選されても、少なくとも外交政策の選択肢の幅は狭いはずだ。
この3月は日本の事業法人の活動が弱まるときで、持ち株の売りも出やすい。また、日経平均の「総合乖離」(25・75・200日移動平均線の乖離率の合計)も40%を超えた。40%超えは昨年6月中旬に日経平均が3万3700円台をつけたときに出現したが、同7月3日の終値(3万3753円)をもって調整局面入りとなったことは記憶に新しい。
相場は皮肉にも「我慢できずに買った」ところ、あるいは持ち株が上がらずに「諦めて売った」ところから変化するものだ。その心は、前者が「日経平均の一服」、後者が「物色対象の拡大」である。日経平均は小休止する局面が近づいているかもしれない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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