日経平均株価はいったん小休止するかもしれない 大相場は継続でも、3月相場には注意が必要だ

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上記の比較で若干補足すると、「買い主体」の中で個人投資家は前者(1989年)も後者(現在)も売り越している。1989年の買い方であった投資信託を「個人」とカウントしても、やはり差し引きでは売り越しになる。今回の新NISA(少額投資非課税制度)の開始で買い越しになるかどうかといったところだ。

また「年間のドル円為替レート」は、現在の株高要因の1つになっている1ドル=150円は直近のことで、ついこの前までは1ドル=140円±5円であったことを考えると、唯一、ほぼ同水準だといえる。ただし、共通していて一見面白い事例のように映るが、前者は220円からの円高、後者は120円からの円安過程で通過した138円であったにすぎず、やはりこれもまったく違う要因といえる。

ベルリンの壁崩壊と平成バブル崩壊の関係は?

実は、筆者は1989年時点において、立花証券の法人部付き部長として銀行・生保からの株式注文を得るために日夜走りまわっていたので、バブル崩壊の真っただ中にいたことになる。その意味でも、投資家の皆さんには当時の役に立つ経験値をお伝えしたいところなのだが、残念ながら平成バブル崩壊前に崩壊シグナルを見つけることはできなかった。

唯一、このとき気づいたことといえば、翌年の1990年相場について、某大手証券レポートの日経平均高値目標が5万円となっていたことに違和感を覚えたことくらいだ。当時は日本中がいずれGDPでアメリカを抜くのではないかという高揚感にあふれていたときだったので、「えっ!1990年はあと1万円しか上がらないの?」と何かいやな気持ちになったことを今もはっきり覚えている。

それから、「なぜだ?」と忘れられないのは、ベルリンの壁崩壊のわずか2カ月後に日本のバブルが崩壊したことだ。東西冷戦は結局アメリカの一人勝ちだったが、日本をはじめとする西側諸国も、平和が訪れた幸福感を感じていた。

「これで日本経済も安泰だ」と思われたが、結局まったく逆の現象になった。当時のエコノミストは「西側のインフレ経済に東側のデフレ経済が急速に入ったため、『ヒートショック』を起こしたのだ」などと解説し、筆者も納得した記憶がある。

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