佐々木麟太郎の「5000万円奨学金」に見る日米差 「日本と違って凄い!」…とは単純には言えない

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また、前出の安部氏のコメントでも触れられていたが、アメリカでは日本の貸与型奨学金の代わりに「学生ローン」が普及しており、その利率は8%前後。そのため、借りただけで卒業後に破産する学生も数多くいるというのだ。

また、そもそもの話として、アメリカのスカラシップ制度は、大学OBたちによる「寄付」で成り立っていることも知っておくべきだろう。もちろん強制ではないが、将来的に佐々木内野手が野球で成功した際には、同校から見返りとして、寄付を求められることは十分にあり得ることだ。

日本では「大学進学を目指す者」全員にチャンスが与えられている

こうした寄付文化が根ざしていない日本でフルスカラシップが今後、普及していくことは正直ないだろう。

一方で、成績優秀者や家の経済的な理由から、学費を免除されるケースはこれまでもたびたび聞いてきたため、名前こそ違うが、これらが充実する可能性は大いにある。また、給付型奨学金も、日本学生支援機構のみならず、各大学や、地方自治体など、さまざまなところが給付を増やしている。

さらに、アメリカでは奨学金を得ること自体が難しいが、今の日本は「大学に進学したい」という意志があれば、基本的に第二種奨学金(有利子)の審査は通る。これをアメリカの「学生ローン」と同じと捉えることもできるが、一応日本の場合は利率が現在、0.07%程度なので、かなり低い。

海外の大学の充実したスカラシップ制度や、そもそも安い学費(アメリカ以外)など、羨ましく思える教育制度はたくさんあるが、日本の場合は「大学進学を目指す者」全員にチャンスが与えられているという見方はできる。

これが海外だと、フェアに機会が与えられない……。そう思えば、まだ日本の奨学金制度も捨てたものではないと思い込むことはできるだろう。

千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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