その住人はゴミ収集車が回収に来るまで付近を見張り始めた。以来、Aさんはそのゴミ捨て場から足が遠のき、あれよあれよという間に部屋はゴミだらけになってしまった。液体が入った空容器や犬の糞といった臭いを発するゴミまで部屋に放置されたままだったのは、ゴミ捨てに一切行けなくなってしまったからだ。
しばらくすると元のゴミ捨て場は復活したものの、すでに部屋は自力では後戻りできない状況にまで荒れ果てていた。現場にスタッフとして入っていた文直氏の弟・二見信定氏も、Aさんのように近隣との摩擦が原因でゴミ屋敷化してしまうケースは珍しくないと話す。
「管理人さんに(ゴミ捨てを)厳しく見られるというのはよく聞くんですよ。集合住宅になると、(ゴミ捨てのルールに)厳しい方もいる。ちょっと言ってくる人がいて、それでゴミを出しにくくなって、たまってしまうという方はいます」
中には「クレーマー・嫌がらせ」と呼ぶにふさわしい事案もあるだろう。そうなってくると、もはや自分ではどうすることもできない。不可抗力でゴミが捨てられなくなってしまう可能性だってあるのだ。
片付けや掃除に積極的になるには
「もともとだらしない性格でもあるので、またお世話になるかもしれないなっていう不安もあります」と、片付け終了後にAさんは話したが、「生ゴミまで捨てずにためてしまう人は心に何か問題を抱えていることが多い」と文直氏は言う。
「生ゴミにしてもゴミ袋に入れて放置している人と、ゴミ袋にも入れない人がいますが、その差も大きいと思っています。何か問題を抱えていても、それを人に相談できない状況にある。そういった心の状態が部屋に表れることもあるんです」
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