月見櫓を備えたお城は他にもあります。ただ、松本城のように当初からお月見のために櫓を建てたのは稀です。
月見櫓の役割は見張り台
多くのお城では、本来の目的は「月見」ではなく「着見(つきみ)」でした。文字通り、到"着"を"見"るための見張り台だったのです。
読み方は同じですが「着見櫓」から「月見櫓」に変わった可能性があったり、両方を表記していたりします。
例えば、香川県の高松城は瀬戸内海に面している「海城」で、当時はお城から海に直接出ることができました。海の様子を見るのに、月見櫓は絶好の位置にあります。月見櫓から船の往来を監視したり、参勤交代から船が帰り着くのを見ていたようです。
もしここでお月見をしたら、瀬戸内海に月光が映って光の道が海上に現れるのが見えるでしょうか。月明かりに照らされた海には、吸いこまれそうな神秘的な空気が漂っていそうです。
また、広島県の福山城にある月見櫓も見張り台として機能していたといわれています。
街道や城下町が見える天守の南側にあって、参勤交代などのときに城主が帰り着くのを見ていたのではないでしょうか。
今は目の前にJR福山駅のホームがありますが、当時は瀬戸内海に面していたので、船の往来も監視していたと思います。
滋賀県の国宝・彦根城には、着見台(着見櫓跡)があります。現在は石垣だけで櫓は残っていませんが、石段を登ると見晴らしがよいです。城下町や琵琶湖が見えるため、城下を行き交う人々や湖上の船の往来を監視していたと考えられます。
正式名称は「着見台(着見櫓跡)」ですが、お月見にもぴったりの場所なので愛称で「月見台」ともいわれるそうです。
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