「寿命を延ばしたい人」にザクロがいい科学的根拠 1日1杯ザクロジュースを飲むことで健康効果

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ルテオリンはセロリやパセリにも含まれていますが、キク科植物は特に多く含まれています。葉よりも花に多く含まれていますので、食用菊がおすすめです。食用菊は鑑賞用の菊と同じ菊の一種で、特に食用として栽培されている菊を指します。標準和名はショクヨウギクといい、食菊、料理菊ともよばれています。お刺身のつまに小さな黄色い菊が使われるのをよく見ると思いますが、これはつま菊とよばれます。

一方で、花びらのみを食用とする大輪の花を酢の物などにして食べる場合もあります。植物学的には観賞用のキクとの明確な違いはありませんが、苦味が少なく、味が良く、比較的香りの少ない品種が選抜され、品種改良した種類が食用として栽培されています。

花びらの色や品種はかなり多く、特に新潟や東北地方でよく栽培され、消費量もこの地区で多いようです。代表的な品種として「もってのほか」という別名を持つ、延命楽、高砂、蔵王、阿房宮などがあります。

古代より中国で延命長寿の花として飲用された

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旬は、菊の花が開く、10~11月とされています。日本へは天平年間に中国から伝来したといわれています。当初は観賞用に栽培されたものが、江戸時代になって本格的に食用が進み、それに伴い栽培が盛んになったようです。

菊そのものは、古代より中国で延命長寿の花として菊茶・菊花酒、漢方薬として飲用されていました。ルテオリンがサーチュイン遺伝子発現を促進する効果があることを考えると、延命長寿の花としての効能は必ずしも迷信ではなかったといえるのかもしれません。

前述の延命楽は、奈良時代には日本でも食用菊として栽培されています。江戸時代に創刊された草本図鑑である『本朝食鑑』に記述が見られます。また、松尾芭蕉は晩秋に滋賀県の近江堅田で「蝶も来て酢を吸ふ菊の鱠哉」という俳句を詠んでいるように、菊を好んで食したようです。

今井 伸二郎 代謝機能研究所所長

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いまい しんじろう

1984年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。日清製粉株式会社中央研究所勤務。2002年博士(医学)(東京医科歯科大学)。2005年東京農工大学非常勤講師。2010年静岡県立大学客員教授。2014 年東京工科大学教授。著書、監修に『機能性食品学』(コロナ社)、『花粉症等アレルギー疾患予防食品の開発』(シーエムシー出版)がある。

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