職場を「安全基地」にするため不可欠な3ポイント リモートワークでも心理的安全性を高めるには

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愛着理論とは、「全ての人は、生まれながら親密さと安心を得ようとする欲求を持ち、自分を守ってくれると感じられる人から、それを得ようとする」という理論です。

安全基地のイメージを持っていただくために、例を挙げましょう。

我が家には4歳の末娘がいますが、公園に行くと様々な遊具を使ってひとりで遊びます。

ただし、ひとりで遊ぶのは、親の気配を感じることができる距離でのみ。親の姿が見えなくなると、不安でキョロキョロし始めます。

親の存在が、ある種の安全基地となり、何かあったら戻れる安全基地がすぐそばにあることで、恐れを感じずに遊ぶことができるのです。そして、新たな遊具を使って遊ぶことにチャレンジすることで健全な発達が促されていきます。

つまり、子どもと同様に、大人でも働く職場が安全基地になれば、自ら快適な領域を抜け出し、積極的にチャレンジをするようになると考えられます。これを、IMDのジョージ・コーリーザー教授らが「セキュアベース・リーダーシップ」という理論として発展させ、提唱しています。

この理論には、「安心=思いやり」と「挑戦=挑ませる」という2つの要素が含まれており、ロッククライミングのクライマーとビレイヤーという存在をメタファーに語られています。

ビレイヤーとは、クライマーのロープを下で保持し、安全を確保する役割です。壁を登攀するクライマーは、ビレイヤーがいるからこそ、登頂に向けてさまざまなチャレンジができるのだという喩えです。

つまり「安心=思いやり」と「挑戦=挑ませる」の両立が、職場を心理的に安全な場にする必須条件だと言えます。

思いやり一辺倒だと、ぬるま湯の仲良しサークルに、挑戦一辺倒だと、不安や危険を感じる職場になってしまうことは想像に難くありません。両者を高次元で実現することが、真の心理的安全性が高い職場づくりに必要なのです。

「安心」と「挑戦」を育むポイント

そこで、「安心」を育むうえでのポイントと「挑戦」を育むうえでのポイントを3つの観点からご紹介します。

①安心を育むうえでのポイント その1:上司は、時には弱さ(正直さ)をさらけ出そう!

安心・安全なカルチャーを創るためには、自己開示できる状態であることが大切です。

そのためには、上司自身が、本音で関わろうとすることが第一歩になるでしょう。しかし、上司が部下に本音や弱さを見せることに抵抗を感じる人は多いのではないでしょうか。「マネジメントに悪い影響がありそう」と腰が引けてしまうものです。

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