韓国・EU間で自由貿易協定(FTA)が発効![前]--日本企業は韓国に流出するか

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 そして、07年5月に交渉が始まり、09年7月に「最終合意」案に合意、10月に協定に仮署名した。その後、10年10月、EU韓国首脳会談の際に正式署名となり、11年2月には欧州議会国際貿易委員会及び本議会を通過、5月には韓国国会本会議で可決された。そして、先週の7月1日に暫定発効となったのである。
 
 交渉の開始から署名・発効まで相当なスピードで交渉が進んだことがわかる。私はここに何としてもFTAを進めようとする韓国政府の意志を感じる。

非関税障壁とサービス分野

なお、韓EU自由貿易協定の対象は、関税だけではない。たとえば、自動車安全基準に関連して、両者は、自らの安全基準と類似の国連欧州経済委員会(UNECE)基準を満たす自動車については、自らの当該基準を充たすものと認定することとしている。

また、電気・電子機器について、韓国側の制度を段階的に変更し、5年以内に、現在のEUの制度(第三者試験や認証なしに供給者が自らの責任で製品試験・認証マーク添付を行う自己適合宣言「SDoC」)を韓国側で段階的に導入。しだいに品目を拡大することとしている。

そして、医療分野にも踏み込んでいる。医薬品および医療機器に関しては、基本的に互いの国内関連制度を尊重しつつ、一方の適合性評価基準が国際基準に合致する場合は、他方がその評価の受け入れ要請を考慮する旨、規定しているのだ。

また、サービス分野においては、「ポジティブ方式の約束表」を採用した(韓米FTAはネガティブ方式)が、弁護士・会計士等の専門職、郵便・クーリエ、陸上運送、建設等については、韓米FTAとほぼ同水準を開放し、通信、環境、法律サービスについては韓米FTA以上の開放を実現した。

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