広末、沢尻、瀧…芸能人「次々復帰」を読み解くカギ 性加害と薬物・不倫への怒りに温度差が生まれる理由

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不倫や薬物などの過ちを犯した人に対する感情の変化はあるのかなどを掘り下げていきます。

いかに味方を増やしていけるか

まず現在、復帰にかかわる記事が相次いでいることについて。これは前述した「伊勢谷さん、瀧さん、沢尻さん、東出さんの騒動が4~5年前に集中している」という時期の問題によるところがあります。特に薬物の罪に問われた人の復帰は執行猶予の満了を目安にしていることがわかるでしょう。

映画の舞台挨拶に登場したピエール瀧さん(映画「水平線」公式サイトより)

もちろん復帰に際して世間の反応は考慮されていますし、瀧さんが逮捕から1年弱で活動再開した際には「甘い」などの厳しい声があがっていました。さらに現在まで出演作が映画と配信ドラマに偏り、テレビドラマへの復帰は果たしていないことからも、本人と制作サイドが世間の反応を考慮している様子が伝わってきます。

瀧さんに限らず、特に地上波のテレビドラマは視聴者の数が多く、反響が大きくなりやすい上に、スポンサーへの配慮が求められるだけに、ニーズの高まりがない限り復帰は困難。映画、舞台、配信ドラマなどの有料コンテンツで素晴らしい演技を見せ続けて評判を呼び、「そろそろテレビドラマでも見たい」という待望論を生み出すというステップが求められます。つまり、「ファンを中心に活動しつつ、少しずつ味方を増やしていくことでテレビドラマへの復帰が見えてくる」ということです。

もともと俳優だけでなく、すべての芸能人が人気商売。不祥事を起こしてもお金を払って見に来てくれるファンがいればビジネスは成立します。俳優で言えば、映画、舞台、配信ドラマ、アーティストで言えば、ライブやリリースなどがそんなファン向けのビジネスであり、そこから復帰するのは自然な流れ。世間の待望論が盛り上がらなければ、そのまま活動を続けていけばよく、必ずしもテレビ出演で不特定多数から支持を得なければいけないという訳ではないでしょう。

大舞台復帰に必要な「気になる」

冒頭にあげた映画の舞台あいさつを例にあげると、その会場には復帰に好意的な人々が集まっています。しかし、会場を一歩出たら否定的な人々もいて、さらに今なお「許さない」と怒っている人もいるでしょう。

だからこそ不祥事を起こした芸能人に求められているのは、そんな現実を受け入れたうえで、どう活動して味方を増やしていくのかを考えること。ファンとまではいかなくても、「気になる」「見届けたい」という人々を増やすことが大舞台への復帰につながっていきます。

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