「悠々自適?」家計調査に見るシニアの暮らしぶり 肉・魚・野菜をしっかり食べ、酒も飲み、教養にも投資
ここまでは男女含めたデータであるが、ここからは、さらに男性のデータに絞り、典型的な人物像を浮かび上がらせてみた。
バブル景気に浮かれ、リーマンショックに青ざめた世代である。単身理由は未婚、離婚、死別とさまざま。年間の消費支出は186万2588円。食料費は57万2256円で消費支出の3割を占めている。食事は好きな魚を中心に、体力づくりのために肉もしっかり食べる。
野菜は平成生まれの若者と比べ3倍も摂取。子どものころからの習性で牛乳はしっかり飲み、腸内環境を意識しているのかヨーグルト摂取も多い。酒は家飲み中心で外食はあまりしない。
家にいる時間が多いので光熱・水道代の負担は大きい。主な情報収集源は新聞で年間2万7653円も支出。NHK受信料(1万2729円)を加えた放送受信料は2万7593円で他世代よりも圧倒的に多い。
電話もよく使う。固定電話1万5180万円と携帯5万3995円合わせて6万9175円は平成生まれの若者4万9419円を大きく上回る。
たばこの年間支出額2万6236円は35-59歳の4万4086円に次いで多い。交際費は年間8万5730円。孫へのお年玉が多いのだろうか、贈与金が5万9880円となっている。
男性の25歳から34歳の単独世帯率は3割近く
「失われた30年」の時代に生まれ、育ってきた世代である。勤労者世帯が大半で、年収の最多は300-400万円と400-500万円が拮抗。300-500万円が全体の54%を占めている。国内での平均的な水準だ。晩婚化の進行、未婚率の高まりという社会状況の中で単身者割合は増加の一途。男性の25歳から34歳の単独世帯率は28.8%で、他世代と比べもっとも高くなっている(2020年国勢調査)。
そんな世代の特徴は外食中心で家ではあまり食べないこと。魚介類消費額は8944円で単身シニア男性の4分の1でしかない。一方、外食は24万8006円と単身シニア男性を圧倒している。好きな料理は和食、中華そば、洋食、焼き肉の順。家ではあまり酒を飲まない。消費額は1万2879円で単身シニア男性の3割ほど。その分、外での飲酒代は5万6748円で35-59歳に次いで多い。
ファッション、美容への関心も高い。理美容サービスに3万6559円とお金をかけ、被服及び履物に7万1242円支出している。
教養娯楽にも投資を惜しまない。年間31万9750円は他の世代と比べ断トツに多い。書籍代だけで3万7386円にも達している。入場・観覧・ゲーム代5万9930円も突出している。単身シニアの倍以上だ。映画・演劇9691円、ゴルフプレー料金8052円など。意外とアクティブな一面がうかがえる。
ドラマ「不適切にもほどがある!」で描かれているように、大きく異なる世相やカルチャーで生きてきたシニアと平成生まれ。さらに年齢の違いも加わり、その消費スタイル にはそれぞれ特徴があることが明らかになった。
昭和生まれシニア、平成生まれ若者世代、それぞれの特徴的な消費スタイル・ライフがAIをはじめとする令和のイノベーション社会の中で何らかの化学反応を起こし、新たな動きにつながっていけば面白い。
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