開戦2年、写真家が見た「ウクライナ前線の街」の今 ロシアによるウクライナへの侵攻から2年

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4カ月にわたる激戦の終盤、ロシア軍は長距離砲を使った戦法から、戦車と歩兵を組み合わせた接近戦に移行した。野戦病院で応急措置を受ける兵士の傷跡に、追い込まれたウクライナ軍の状況が見てとれる。

2月に入り、アウディーイウカの野戦病院は撤退を余儀なくされた。ロシア軍に北東南を包囲されながら、わずかに口があいていた西側が徐々に侵攻されてきたからだ。

その頃、アウディーイウカに派遣された兵士がいる。ハルキウ州の開放などに貢献した第3独立強襲旅団のブイコ(42)だ。

アウディーイウカで戦った第3独立強襲旅団の兵士、ブイコ (写真:本人提供)

「これは工場で撮影したんだ」と言って見せてくれたのは、アウディーイウカの北西部にあるコークス工場から廃墟と化した街を撮った写真だ。最後まで街に残ったウクライナ兵、数千人のうちの多くが籠城していた工場だった。

激戦地バフムートの戦線からアウディーイウカにやってきたブイコは、戦況の違いについてこう話す。

「バフムートの前線は横一線で、敵と向きあう形で戦えた。しかしここは、左からも正面からも右からも敵が攻撃をしかけてくる。弾を避けられないんだ」

アウディーイウカで撮影されたブイコのセルフィー写真を見ると、鼻の左側にかすり傷があった。2月16日、ブイゴはロシア軍に包囲される寸前のところで撤退した。

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