老舗書店が創った「絵本グッズ」という新たな市場 エフェクチュエーション理論で読み解く(前編)

アマゾンも撤退を余儀なくされたリアル書店事業
書店は再販制度や委託販売制度のおかげで、価格競争とも在庫リスクとも無縁の楽な商売をしている――もしかしたら流通関係の中には、そんなふうに思っている方もいるかもしれません。では、書店事業の利益率が平均して20%そこそこ、営業利益率では1%を下回ることも珍しくないと知ればどうでしょうか。
あのアマゾンが初の実店舗ビジネスとして手がけたリアル書店を早々にすべて閉鎖したことからも、決して割のいいビジネスではないことがわかります。
それでも、文化の担い手としての矜持をもって踏ん張るリアル書店のおかげで、私たちはベストセラーでも「あなたへのおすすめ」でもない多種多様な本に出会い、手に取ってパラパラとページをめくっては、さまざまな刺激を得ることができます。街から書店が消えたら、そんな幸せな偶然はめっきり減ってしまうことでしょう。