このフォローアップ研究として、テイラーは2型糖尿病患者の参加者にもう一度、8週間にわたり600キロカロリーダイエットを行ってもらい、その後6か月をかけて徐々に普通の食べ物に戻していってもらった。
その結果わかったのは、参加者が落とした体重をそのままキープできているかぎり、2型糖尿病は再発しないことだった。その人たちはカロリーや炭水化物の摂取量を増やしても、問題は起きなかった。
「脂肪」を減らすほど糖尿病はよくなる
しかし、かなり体重を落としたにもかかわらず、糖尿病を克服できない人もいた。糖尿病になって4年経っていない人の87%が体重減少によってよい結果を得られたのに対し、4年以上経っている人たちは50%しか糖尿病を克服できなかった。
この理由の1つは、糖尿病患者として長い時間を過ごした人ほど膵臓にダメージを受けやすいことだ。
膵臓に大きな損傷や機能不全が起こると、いくら体重を落としても、糖尿病を克服するのが難しくなる。さらに、長年糖尿病(またはほかの病気)を患っていて、それが膵臓のような特定の組織や臓器、腺に大きな損傷(たとえば細胞死のような)を与えていると、2型糖尿病を完全に克服するのは相当難しくなる。
2型糖尿病を克服できたにせよできなかったにせよ、体脂肪を落としてその状態をキープすることで、研究に参加した人たち全員の健康状態は明らかによくなり、身体組成の向上、インスリン感受性の回復、脂肪肝と肝機能の正常化といったよい変化が見られた。
テイラーはこの発見を、のちに行った1年間に及ぶDiRECT研究でも確認している。それによると、糖尿病を克服できる可能性は、体脂肪の減少量に比例して増加することがわかった。