結局、生成AIはビジネスでどう使われているのか 浸透は速いが、使用はいまいち広がらない現実

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また、具体的に生成AIを利用している業務内容と、今後利用できると考えている業務内容も調査した。生成AI 利用の業務内容

日常業務のサポートに現状ではとどまっている

現状で導入が進んでいる業務としては「あいさつ文などの原稿作成」が43.7%、「記事やシナリオの作成」が46.0%と、テキストのアウトプットが圧倒的である。創造性のあるコンテンツを生成するというよりは、簡単な出力結果を業務に活用しているのが現状だ。ChatGPTなどにおけるテキスト(文章)ベースにおけるコンテンツの生成を活用していると考えられる。

テキスト以外では、「挿絵やイラスト」で現在利用している人が16.1%、「動画の作成」が9.2%となっている。少ないながらもテキスト以外のコンテンツ生成に活用している事例も見られる。

今後の活用可能性と、現状の利用状況の差を見ることで、今後、利用が増加すると考えられる生成AIの活用方法を推測することができる。同じテキストの生成の中でも、「マニュアルの作成」(現在の利用率26.4%)や「議事録の作成」(現在の利用率19.5%)は、今後の活用可能性がそれぞれ44.2%、36.4%と期待が高く、現在の使い方よりは、より深い業務の支援における活用が期待されている。プログラムの「作成」(現在の利用率18.4%)についても、今後の活用可能性が32.1%と期待している人が多く、プログラムの「チェック」だけではなく、「作成」まで生成AIが使われていくことになるであろう。

現状は、ChatGPTが発表された当初ほどのインパクトがビジネス現場に及んでいるかといえば、首肯する人は少ないかもしれない。たとえば、議事録や報告書を作成することができる。ただし、実際に使ってみると、思ったようなアウトプットを得られず、最終的には人の手が必要になるし、場合によっては人がやったほうが早いと感じているのではないだろうか。

それでも、生成AIの「精度」の向上と、その進化の「スピード」はわれわれの想像をはるかに超えてくる。もちろん、AIがどの程度の学習をすれば、シンギュラリティが来るのかはわからない。しかし、生成AIが「使えるレベル」になったように「人間の脳と同レベル」になるタイミングは突然やって来るかもしれない。シンギュラリティはいつ来てもおかしくないところまでせまってきているのだ。

塩崎 潤一 野村総合研究所 未来創発センター生活DX・データ研究室長

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Junichi Shiozaki

1967年生まれ。筑波大学社会工学類卒業。1990年、野村総合研究所入社。専門分野はマーケティング戦略、数理解析・数理モデル、生活者の価値観など。同社にてデータサイエンスを活用した新規事業の立ち上げに責任者として関与。主な著書に『変わりゆく日本人』、『第三の消費スタイル』など。2019年より(社)データサイエンティスト協会の理事も兼ねる。「NRIデータサイエンスラボ公式YouTubeチャンネル」で情報を発信中。

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